ミーティア

 この宇宙の片隅で薄れゆく意識の中、響くのは貴方の声。  悔しかった。

 掴んだ幸せは儚く散ってしまった。

 思えば貴方は薄情だった。勝手に居なくなって、帰ってきたと思ったら全てを忘れている。

 どうして悲しいのだろう。最期だから? こんなにも宇宙が凍てついているから?  冷たくなっていく心。死んでゆく身体から涙は溢れない。だけど、貴方の温もりはまだ感じられる。

「悲しみに身を委ねていたい……」  

 消えそうな貴方の声。そっと甘い感触。

 ああ、貴方も同じ。吐き気のするような後悔に苛まれている。  貴方は私にとって全てだった。運命だった。

 だから、これはきっと必然なのだ。神の悪戯に違いない。

 慟哭が聴こえる。世の中の不条理を訴える厭世的な叫びだ。

 身体は動かない。それどころか、もう意識が途切れ途切れ。

 本当にこの世界はもどかしい。

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